こんにちわ! ナオミです!

 

 今日は居合道の試合に出ています!

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 実は、幼少の頃は泣き虫だったあたし。そんなあたしに親が勧めてくれたのが、精神力を鍛え、高めるためにうってつけなこの「居合道」でした。小学生の頃から始め、今では中々上達してきたなぁと実感しています。

 

 刀が鞘から放たれヒュッと風を切ります。あたしがイメージした通りの形が決まります。うん、今日は絶好調!

 

『赤! 日輪流 ナオミ選手の勝利!』
 審判員があたしの勝利を告げます。やったあ!

 

 居合道の試合というのは剣道のように実際に打ち合うのではなく、規定技を演武して、「修行の深さ」「技の正確さ」「心構え」などを審判員が判定し、旗の掲示による多数決や採点で評価することで勝敗を決します。

 

「次はいよいよ決勝戦ね……」
 あたしは、決勝という大きな舞台で緊張してきたのか身震いしてしまいました。これが武者震いというものなのでしょうか。その直後に下腹部から股間のあたりがキューと締まる感じの違和感を感じました。そうです。あたしが一番恐怖しているもの……尿意です。頻尿持ちのあたしは我慢が利かない体で、トイレに間に合わずおもらししてしまう事もしばしば……。この尿意が緊張のためなのか、そうでないのかは判りませんが、決勝戦の前にトイレに行っておいた方がいいなと思ったその時。

 

「キャー! すごーい! ナオミせんぱーい!」
「カッコイイです!」
 道場の後輩達の黄色い声援と共に取り囲まれてしまいました。小学生の頃からやっているお陰ですっかり年上になってしまいました。
「私応援しています!」
「決勝戦がんばってくださいね!」
「う……うん……。あ……ありがと……。あの……ちょっと……」
「ワイワイガヤガヤ……」
 隙を見て通してもらおうとしますが、応援してくれている可愛い後輩達の気持ちを無下に出来ないあたしは、中々切りどころが掴めません。そんな感じでモタモタしているうちに館内放送が無情にもインターバルの終了を告げます。
『続いて決勝戦を行います。該当の選手は位置について下さい』
「えぇ!? もう!? インターバル短ッ!」
 短すぎるインターバルにあたしは思わず突っ込みを入れてしまいました。
 こうして結局トイレに行きそびれたあたしはそのまま決勝戦を行う事になり、仕方なく位置について跪坐(きざ)の姿勢で試合開始の合図を待ちます。
「うぅ……。素足だから床の冷たさで余計に……」
 尿意を感じてからあまり時間が経っていないはずなのに、あたしの我慢の利かない膀胱には容赦なくおしっこが溜まっていきます。試合などそっちのけで頭の中がおしっこでいっぱいになっています。

「あぁ……っ! 波がきた!」

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 大きな尿意の波が体中を襲い、尿道口を超えておしっこが漏れてしまいそうになりましたが、寸前の所でこらえます。
「た……耐えるのよナオミ! こんな大舞台で、慕ってくれている後輩達の前で、おもらししてしまうわけには……!」
 あたしは自分に暗示をかけるようにゆっくり呼吸を整えます。

 

「すぅ~、はぁ~……

 

心頭を滅却すれば─────────

 

おしっこもしたくない!!」

 

 不思議な感覚があたしを包みました。
 静かです。でも音が全く聞こえないわけではありません。まるで一人で道場にいるときのよう。
 感覚は研ぎ澄まされ、空気の微かな淀み・流れを肌で感じ、爪の先や髪の先、さらには刀の切っ先まで感覚があるようでした。
 そしてそして、なんと尿意があまり感じられません。こんなの初めて!
「はじめ!」
 審判員が試合の開始を告げます。

 あたしはゆっくりと柄を握ります。

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次に動くべき動作が3Dホログラムのように目の前に映し出されます。あたしはそれに当てはめるように丁寧にかつ素早く体を動かします。

 ヒュッ
 刀の切っ先が閃光の様に走り、空を切ります。
「おおおお……!」
 後輩、先輩、師範、観客から、響めきに似た感嘆の声が上がります。会場にいる全ての人があたしに注目しているように感じました。
 一振り、また一振り、あたしは演武を重ねていきます。
 刀が軽い────。使用している刀はそれなりに重さがあり女子が扱うには結構大変なのですが、まるで重さを感じません。
 冒頭で絶好調と言いましたが、まるでそれが不調に感じるくらいです。
 全ての演武を終えると、刀を鞘に納め、正座し、刀を床に置き、深く一礼します。

 

 判定は……

 

『赤! 日輪流 ナオミ選手の優勝!』

 

 ワアアアァァ! と歓声が上がります!

 

「ふう……」
 あたしは大きく一息つきました。
「……ひぐっ……!」
 すると演武中は全く感じなかった尿意が試合が終わると共に急激に襲ってきました。何なのコレ~!
「でも、これでやっとトイレに行ける……!」
 トイレへ向かうために急いでかけだそうとしたその時!
「キャー! ナオミ先輩ー!」
「素晴らしい! これはまさに達人の域!」
 後輩、先輩、師範、たまたま試合を見に来ていた人、さらに大会の関係者らしき人などなど、決勝戦前とは比べものにならないくらいの人だかりに囲まれてしまいました!
「ぐえ……。あうっ……」
 ちょ……! お腹を押さないで……! ちょっとちびっちゃったじゃん!
「達人並みの腕前を持つ居合い美女! これはスクープだ!」
 どうやら地元テレビ局の記者も来ていたらしく、カメラとマイクを向けられます。
「ナオミ選手、今の気持ちを聞かせて下さい!」
「う……嬉しいです……」
 おしっこで頭がいっぱいになったあたしは、気の利いた受け答えなど出来る訳ありません!
 あたしは袴を思いっきり内股に挟み、何とかおしっこの出口を塞ごうと足掻きます。膝をすり合わせている脚は落ち着きが無くモジモジしながら、体全体がプルプルと震えています。
「あ……あの……、インタビューなら後で答えますので……、ちょっと……通して……」
 ちょっと感じが悪いかもしれませんが、あたしはインタビューを途中で切って、トイレに向かおうとします。すると無情なる館内放送が流れました……!
『それでは、今から表彰式を執り行います』
「げげっ」

 

 そんなあたしの状況などお構いなしで、表彰式でお馴染み「見よ、勇者は帰る(得賞歌)」の曲に乗せて、表彰式が始まってしまいました。再びトイレに行きそびれてしまったあたしは、当然おしっこを我慢したままです!
 やややややややばい! そ……そうだ! またあれをやれば我慢できるかも……!
「心頭を滅却すれば─────────

 

おしっこもしたくない!!」

 

 ……あ、あれ? お……おかしいな……。

 

「心頭を滅却すれば─────────

 

おしっこもしたくなーい!!!!」

 

 ……だ……ダメだあ! おしっこしたいい!!!!

 

「表彰状 優勝 ナオミ殿 あなたは第七回○○居合道大会に於いて頭書の成績を収められました。よってここにその栄誉を称えこれを称します。
平成二十八年○月×日 ○○居合道連盟」
「……」
 あたしは、目をギュッとつぶり、前のめりの内股になり片手を股間に押しつけ、必死でおしっこを我慢していて、表彰状を受け取るのを忘れていました。
「ナオミさん?」
 賞状を渡す主催者の方が怪しげな顔をしています。
「はっ……。あ……ありがとうございま……」
 慌てたあたしは、とっさに股間から手を放し、両手で表彰状を受け取ったその瞬間!
 手というせき止めるものを失ったお股のワレメの隙間から、シュウウウ~と水の出の悪い蛇口の様な恥ずかしい音を立て、一気におしっこが吹き出してしまいました! 溢れ出てしまったおしっこは止まるところを知らず、白い袴に薄黄色のシミを作っていき、袴の布地に吸収しきれなかったおしっこは足下の水たまりをみるみるうちに広げていきます。火が出そうなくらいに顔が真っ赤になっているのが見なくても判ります。額から冷や汗が噴き出し、顔を滴り落ちます。

 

 大勢の人が見守る中、こんな大舞台の表彰式で、おもらししてしまうなんて……。
 その後、あたしが着替えや後始末を済ませると、主催者の計らいで表彰式をやり直してもらいました。道場のみんなには、あたしがおもらしっ娘と言う事はすでにバレバレだったようで、笑って済ませてくれました(違う意味で恥ずかしすぎる~!!)。

 

 しかし! 観客の誰かがその様子をスマホで撮っていたようでネットで拡散されてしまうわ、地元のテレビでもその様子をハプニングとして放送されてしまい福岡ではおもらしっ娘としてちょっとした有名人になってしまうわで、穴があったら入りたいです!! あたしの人生終わった~!。゜(゜´Д`゜)゜。

Dr.Q考察
 だあーっはっはっはっは!! 災難だったな! ナオミ君!
 ナオミ君は膀胱が窮地に追い込まれると、とてつもない集中力を発揮し、短い間だけ尿意を抑え、無意識のうちに無駄の無い的確な一撃を繰り出す事が出来るようだな。居合道を通して精神力が高まり、さらにおしがまという極限状態が相まってその才能が開花したようだ!
 これを「おしがまモード」と名付けようではないか!