「じゃあまた明日ね!」

由姫ちゃんはそう言ってにっこり笑った。あんな出来事の後なのに、何事も無かったかのように振る舞う由姫ちゃんは本当に強いな。

「うん。おやすみ!」

あたしも精一杯の作り笑顔で由姫ちゃんと別れる。

アパートの自分の部屋に戻り、シャワーを浴びて、ドライヤーで髪を乾かす。相変わらずおしっこが近くて何回もトイレに行ってしまう。ベッドに横たわり眠ろうとするが眠れない。

今日の出来事があたしの頭の中をグルグルとループしていた。おもらししてしまうほど限界を超えておしっこを我慢したこと。そのせいで膀胱がバカになりおしっこが近くなってしまったこと。限界を超えておしっこを我慢してしまうことの快感。そして……、由姫ちゃんのおもらし。あたしは何だかムラムラしてきてオナニーを始めてしまった。

「ああっ。由姫ちゃんのおもらし……」

憧れの由姫ちゃんをオナネタにしてしまう背徳感に苛まれながらもその行為をやめることができず、間もなくオーガズムを迎える。その後、あたしは気を失ったように眠ってしまった。

 

◆ ◆ ◆

 

――翌朝。

あたしは身体が濡れている気持ちの悪さで目が覚めた。

「ん……。寝汗かいちゃったかな」

しかしなんだか様子がおかしい。うつ伏せで寝ていた身体の前面のみぐっちょり濡れていて、ベッドには黄色がかった大きなシミが出来ている。そして、このにおいは……。

「え!? おねしょ!?」

菜亜 おねしょ

あたしはようやく自分の犯してしまった失態に気付く。

「ぐす……。恥ずかしい……。おねしょなんて中学生以来だよ……」

白のタンクトップとパンティはおねしょでびっしょりと濡れ、女の子の大事なところが透け、無残に丸見えになってしまっている。身体とベッドに挟まれていた髪も濡れてしまい、細かな束となり身体に貼り付いている。時間が経ったおねしょはベッドに染みこみ取り返しが付かないことになっている。

「おしっこは近くなるし、おねしょはしちゃうし、どうしちゃったんだあたしの体……」

「おしっこ臭い……」

「どうしようこのベッド……」

あたしは、恥ずかしさを紛らわすかのように独り言を喋り続けた。しかし、それは何の解決にもならない。あたしは恥ずかしい格好のまま絶望し、泣いた。普段は強がっているけど、性根は弱っちい。そんな自分が本当に嫌になる。

しばらく一人でベソをかいた後、おしっこで染まったタンクトップとパンティを脱ぎ、ベットのシーツを引っぺがし、それらを洗濯機に放り込む。着衣を脱いでも体中からおしっこの臭いがするので、そのままシャワーを浴びた。ベッドに染みこんでしまったおしっこはどうしようも無いので、消臭剤をたくさんふりかけ、扇風機を当てて乾かすことにした。

そんなこんなでおねしょの後始末をしていたら、もう稽古の時間だった。

「ああ。もうこんな時間」

気が重くて行きたくないけど、由姫ちゃんと「また明日」って約束しちゃったし行かないとな……。

 

◆ ◆ ◆

 

怖い。身体が震える。

新宮寺の手によって昨日の出来事がネットにアップされ、しかもバズっていた。道場のみんなもきっと知ってるよね……? 道場の恥さらしと思ってるよね……? おもらし女ってバカにしているのかな……? あたしは道場の扉を開くことができず固まってしまっていた。

「おはよっ!」

晴れ渡るような明るい声。固まっていたあたしに声をかけてきたのは由姫ちゃんだ。

「あ……。おはよ……」

それとは対照的にどんよりと暗い声で返事をしてしまうあたし。

「……。やっぱり昨日のこと気にしてるのね」

一瞬で全てを察知されてしまった。本当に由姫ちゃんには敵わないな。

「大丈夫よっ! あなたをバカにするような人は道場にはいないし、もしいたら私が守ってあげるから!」

「……ありがとう」

その言葉だけであたしは泣きそうになってしまった。

「少しずつでいいから強くなっていこうね」

 

◆ ◆ ◆

 

由姫ちゃんの言うとおり、あたしの心配は杞憂だったようだ。道場のみんなはいつもと同じように接してくれた。もしかしたら知らないだけかもしれないけど(笑)。よーし、こうなったら由姫ちゃんの期待に応えられるよう頑張っちゃうぞ!

「はぁっ!!!」

はりきってお腹の底から声を出したその瞬間、「びじゅ」と下品な音を立ててあたしの股間から出してはいけない液体が溢れる。

菜亜 稽古中におもらし①

「あ……。あああぁぁぁ……。止まんない……」

菜亜 稽古中におもらし②

おしっこが一度出てしまうと止めることが難しいのが女の子の身体。股間からは「ジョオオォ」という情けない音が奏でられ、畳に落ちた液体は「バタバタ」と跳ね回っている。その音でみんなの注目が一心にあたしに集まる。あたしは恥ずかしさのあまり全身の汗腺から冷や汗が一気に噴き出し、ポタポタと滴る。尿道と汗腺で異なる液体を垂れ流しながら、あたしは構えをとったまま動くことが出来なかった。

おしっこがあたしの身体から全部出てしまったその直後、あたしとは別の場所でざわめきが起こる。

視線をそちらへ移すと、その中心には由姫ちゃんがいた。

由姫 稽古中におもらし

「たはは……。私も漏れちゃった」

なんと由姫ちゃんもおもらししていたのである。股間を手で押さえていたためか上衣の前の部分が薄黄色に染まっり、その手からはおしっこが滴っている。ぴったりとした白いスパッツは濡れた部分が透けて肌色になっている。あたしは昨日の出来事がフラッシュバックして、自分のおかれている状況など忘れてしまい性的に興奮してしまった。

しばらく道場内に静寂が流れた後、練習生の一人が口を開く。

「もう、二人ともしょうがないなー。私たちが掃除しておきますから、着替えてきてください」

「たはは……。じゃあお願いしよっかな」

由姫ちゃんが申し訳なさそうに答える。

「まあ、誰でもこういう時もあるわなー」

「気にすんなー」

別の練習生も次々と口を開く。そこに嫌な空気感は全く無かった。これも由姫ちゃんの言うとおりだった。この道場にはおもらしをしたくらいでバカにする人は一人もいなかった。

「菜亜、じゃあロッカー室で着替えよっか」

由姫ちゃんは慈愛に満ちた優しい笑顔であたしに声をかけた。その表情の中に恥じらいなど微塵も感じることが出来なかった。

「由姫ちゃん……。まさか……」

 

◆ ◆ ◆

 

「拭いてあげる」

由姫ちゃんはそう言って、おもらしでビショビショに濡れたあたしのスパッツとパンティを脱がせる。由姫ちゃんの目の前であたしのま●こが露わになる。おもらしの快感と由姫ちゃんのおもらしを見た性的興奮で、ヌルヌルとした粘液がパンティにべっとりと付着し、ま●こから糸を引いている。

「いや……。恥ずかしい」

あたしは顔を真っ赤にして顔を手で覆う。

「一緒にお風呂に入る仲じゃない。今さら何を恥ずかしがっているのよ」

由姫ちゃんは意に介さず、白いハンカチでおしっこの雫が残るあたしの脚を拭き始める。

「由姫ちゃん……」

「なあに?」

「まさかワザとおもらしした?」

「どうだろうねぇ? 昨日から私もおしっこ近いからねぇ」

「答えになっていないよぉ……」

そう言いながらもあたしは確信した。由姫ちゃんはワザとおもらしをしてあたしを守ってくれたのだ。こんなこと由姫ちゃんにしか出来ない。

「ぐす……。う……、うああああああん!」

感情失禁する菜亜

由姫ちゃんの聖母のような優しさに感動し、今まで溜め込んでいた様々な感情が爆発し、あたしは下半身丸出しの恥ずかしい格好のまま感情失禁を起こしてしまった。まるで子供が泣きじゃくるように。

さらにあたしは感情の制御と共に下半身の制御も効かなくなり、おしっこが閉じたワレメの間から勢いよく吹き出す。感情失禁しながら失禁しまったのだ。

感情失禁して失禁してしまう菜亜

それは由姫ちゃんの手に直撃し、持っていた白いハンカチを薄黄色に染めていく。

「ああっ、ご……、ごめんね。ごめんね……。うあああん」

あたしは慌てて謝るが、もはや止めることは出来ない。

「いいのよ。気にしないで」

由姫ちゃんはいつものようににっこりと笑って許してくれる。あたしはそれに甘えて、泣きながら全てを洗いざらい告白した。今朝おねしょをしてしまったこと。おもらしが快感になりつつあること。由姫ちゃんのおもらしに興奮してしまったこと。そして由姫ちゃんをオナネタにしてしまったこと。

「話してくれてありがとう」

由姫ちゃんは気持ち悪がるどころか、逆にお礼の言葉を言って優しくギュッとあたしを抱きしめてくれた。お互いの肌が触れ合い温かい。

「私うれしいの」

「ヒック……。由姫ちゃん……」

「あなたはあまり自分のことを話したがらないじゃない? だからあなたの人間臭さというものを知れてうれしい」

由姫ちゃんはあたしの背中に回した手をポンポンと軽く叩いた後、抱きしめるのをやめて、あたしの目をじっと見つめる。

「……気持ち悪くないの?」

「全然! 菜亜みたいな女の子は結構いるよ」

「えぇ!? そうなの!?」

あたしは驚いて目を丸くする。

「うん。それに、そういうのを見るのが好きな男の人も存在するらしいよ(笑)」

「うえぇ……。きも」

「んふふ」

思わず眉をひそめるあたしを見て、由姫ちゃんはいつものように笑う。

「でも……、あたし怖いよ。世間の目が」

あたしは一番の不安を漏らす。

「そればっかりは乗り越えていくしか無いわね。いっその事開き直ってみたら?」

「開き直る?」

「例えば、”おもらし系武闘家”を名乗ってみるとか? インパクトは絶大。意外と人気出るかもよ」

「あはは。面白いね。じゃあ、由姫ちゃんとあたしでタッグ組もうか」

「あちゃー、そう言えば私もおもらししたんだった!」

「忘れてたの?(笑)」

イタズラっぽいあたしと、それに振り回される由姫ちゃん。話が終わる頃にはいつもの二人。あたしの心はすっかり晴れていた。さすがは由姫ちゃんだ。あたしの親友であり尊敬できる先輩。いつかはあたしも由姫ちゃんみたいに、優しく、強く、たくましくなると心の中で改めて誓った。

「由姫ちゃん大好き!」

あたしはそう叫んで由姫ちゃんの唇を奪ったのだった。